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FaOI神戸のパンフレット書き起こし。

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今更なのですが、FaOI神戸と金沢のパンフレットに掲載されていた、羽生君のインタビューです。とても興味深いインタビューでしたので、ショーに行かれていない方のためにも、シェアしたいと思います~。
(他のブログさんでも掲載されていたかもしれませんが。)

衝突事故だけではなく手術もした大変なシーズンを過ごしましたね。そのなかでの経験や精神面での成長などについてはこれまでも話していましたが、身体的にも時間が制限されている中で、表現面でも考えることが多いシーズンだったのではないですか。

「それはすごくありましたね。特に世界選手権の前はスケーティングだけの期間が長かったんで。。。。でもそれだけで貸し切り(練習)を終わらせるわけにはいかないので、プログラムの要所要所を・・・、今までみんなに見てもらってきて、自分でも『ここ気になるよな』というところをピックアップしていろいろ練習していました。特にショートプログラムはそうでしたね。バラードというピアノの純粋な音を表現しなくてはいけなかったし、3拍子なので音の取り方が難しいんです。だから振り付けをしてくれたジェフリー・バトル独特の音の取り方だったり、間だったり・・・。また強弱のつけ方というのを、振付をしてもらったときの映像を見てもう一度いちからやりなおしていました。」

そのなかで、新しい発見みたいなものはありましたか。

「自分の視線の使い方とか、顔の使い方とかだったり・・・。あの曲に特化してですが、音の使い方や間の取り方などに非常に注意してやってこれたので。そこに関してはその曲だけになってしまうかもしれないけど、しぐさというか、手のラインや背中のラインなどは今までの自分のスケートに当てはめても考えられたので、そこは改めて発見したことですね。それはこれから新しいプログラムを作ってやっていくなかでも、また違った視線から見られるというか、過去のプログラムも『あそこでこうすればもっときれいに見えたんだろうな』、などという感じで見られるようになってきたと思います。」

それの成果が、自分で思ったより得点が出ていたと話していた世界選手権のショートプログラムだったのですね。

「そうですね。何か僕自身が見てですけど、GPファイナルのバラードと世界選手権のバラードは全然違ったんですよね。4回転でミスはしたけど、表現面ではわりと気持ちよくできたので。」

そんな表現面での成長も見せることができる今年のアイスショーは、羽生選手自身も楽しみにしているのではないですか。

「そうなんです、アイスショーはそういうものをフルに出せるところなんですね。ジャンプはそれほど難しくないし、点数が付くわけでもない分、もっとみんなに観ていただきたいというのはあるんですけど、それよりも自分が自分の感情をフルに出して滑れるというのはやっぱりアイスショーくらいしかないわけですから。その感情をマックスに使って滑るというか、自分のその時の気持ちを表情とか息づかいだったりで届けたいというか・・・。その曲で表したいなと思うものが、すごく出せる場だと思います。」

今年のファンタジー・オン・アイス幕張と静岡では、シェネルさんとのコラボで『ビリーブ』を踊っていましたが、これまで以上に大きさとメリハリを感じる滑りでしたね。

「ああいう風にコラボレーションをたくさんさせてもらい、いろんな人の振り付けを踊らさせていただくことで表現の幅も広がってきているし、『このプログラムはこうやればいいんだ』とか『もっとこういう風にやってみてもいいんじゃない』などと考えるキッカケやヒントにもなっていると思います。そういうヒントがだいぶ増えてきたなというのと、去年は特に表現や音というものを意識して演技しようと思ってやってきたので、ああいうコラボレーションとかアイスショーという舞台ではそれをすごく意識しているし、フルに出していこうと思っています。」

昨年も、試合では審判に見せることを意識するが、アイスショーでは360度の方向から見られていると話していましたが、やっぱり全方位に見せようと意識しているのですが。

「そうなんです。ただ難しいのは、背中を見せるときは背中を見せたいと思うんですけど、前から見ている人もいれば横から見ている人もいらっしゃいますし。だからいつどこから写真を撮られてもというか、どの場面を切り取ってもどの方向から見られても『アッ、これを表現したいのかな』と思ってもらえるようにというか・・・。例えば手の表現をしたあとに次へ移行している時でも、『アッ、これからこういう風に表現したいんだな』と感じてもらえるようになりたいですね。」

手や体が動いても、元のところに心の残像のようなものがスーッと残るような雰囲気などもありますね。

「そう、そういう余韻というか・・・。そういうのをすごく意識して、このアイスショーシーズンを過ごしているのかな、と思いますね。

そういうひとつひとつのものが、次のシーズンへの財産にもなりますね。

「もちろんです。次のシーズンというか、今後の自分のスケートにおいてもまた一つ違ったものというか、もうひとつレベルアップするための貴重な財産にもなると思います。やっぱり誰もそうだと思うけど、自分が得意な振り付けと得意じゃない振り付けというのはあると思うんです。だけどアイスショーだとコラボレーションやオープニング、フィナーレの振り付けの中で、『アッ、これ得意だよな。この動きはできるよな』というのも見つけられますし、逆に『この動きはちょっと苦手だけど、こうしたらもっときれいに見せられるんだ』とか『こういう間が大事なんだな』と、溜めみたいなものの必要性を学べる機会でもあると思うんです。」

ファンタジーでも金沢からはコラボではなく、また違ったものをやると聞きましたが、どういうものですか。

「まだ作っている最中なので詳しくは言えませんけど、これからやろうと思っているのは新しいエキシビションプログラムです。曲自体はボーカルも入っていなくて難しいんですけど、かなり感情を出せるプログラムで・・・。それにこれまでの僕の経験とか、その時の気持ちとか感情を込めてやろうと思うんです。ただ、歌詞がないから受け取るみなさんの感情などは、多分僕のものとは違いますよね。でも僕はそれを一緒にしようとは思わないし、『これを受け取ってほしい』というのはないですね。もちろん振り付けの宮本賢二先生との間では『こういうイメージでやろう』というのは固まっているけど、僕が作り出すイメージはその時限りのものだから、そのひとつ一つを感じてほしいなというのと、それを観たときに感じたものが少しでも記憶に残ってくれればと。僕の演技が記憶に残ってほしい、というまでのあつかましいことは言わないので(笑)。」

観た人たちがそれぞれに感じたものを、記憶に残してほしいということですね。

「そうなんです。僕の演技が映像に残れば何度も見てほしいですけど、アイスショーは試合じゃなくて一回しかないから。その時自分がナマで見て感じ取ったものというか、観ていて思い浮かんだ風景や自分の経験、または思い出だったり・・・。そういうものをすごく大切にしてほしいなと思っています。」

観ている人たちの感情を触発するようなプログラムであり、演技なのですね。

「はい。多分僕はどちらかというと今までいろいろ演技させていただいていて、何かメッセージを伝えるというプログラムはあまり得意じゃないと感じているんです。バレエの先生とかいろんな方にプログラムを見ていただいた時も、『自分に入り込みすぎるな。もっと周りに向けて表現しろ』と言われてましたから(笑)。だからどちらかというと僕は周りに与えるのではなく、自分を表現することの方が得意だと思うんです。」

それは去年も話していましたね。自分の中に入り込みすぎると。

「そうですね。それでもっと外に出したいと思ってファントムを表現していたけど、結局は『そのファントムとは?』と言われたらやっぱり、自分の経験などを表現しようとしていたんだと思うので。でも新しいエキシビのプログラムは自分の経験がかなり関わってくるものなので、自分のその時の心境を出すためにも完全に自分の中に入り込んでもいいなと思っているんです。自分の世界の中に感情や体を全部溶け込ませるくらいに滑り込んでもいいなと・・・。だから、自分の生きざまじゃないけど、そういうのを観てくれた方々がどう感じてくれるかというのをすごく楽しみにしているというか。いろいろな感じ方をして楽しんでもらいたいと思っているんです。」

神戸でパンフレットを買って、初めてこのインタビューの全文を読んだ時驚きました。
自分のことはもちろんですが、羽生君の演技を見ている人がどういう気持ちになるか(傾向にあるか)ということを的確にわかって分析している、ということにです。
観客の視点ですよね。
今までの日本のフィギュアスケーターのインタビューではあまり見たことがないのですが。。。
おそらく、ファンレターやネット等の意見も参考にしているとは思うのですが。

そして、新プロのことですが、
「自分のその時の心境を出すためにも完全に自分の中に入り込んでもいいなと思っているんです。自分の世界の中に感情や体を全部溶け込ませるくらいに滑り込んでもいいなと・・・。
だから、自分の生きざまじゃないけど、そういうのを観てくれた方々がどう感じてくれるかというのをすごく楽しみにしているというか。いろいろな感じ方をして楽しんでもらいたいと思っているんです。」

その前の部分で、メッセージ性があるのは得意ではない、自分に入り込みすぎるなと言われると書いてありましたが、
通常、外に向かって演技をすることが求められるフィギュアスケート。
ジャッジのPCSの項目にすら、観客とコネクトしているか、というのがあるくらいなのですが、逆転の発想というか、「完全に自分の中に入り込んでもいいなと思っているんです。」というコンセプトの元につくられたプログラム。。。実験的なことをしているな、と思います。
得意なことを極限まで突き詰めていったらどうなるか?
外へ外へ、ではなく、内へ内へ想いを凝縮させていったらどうなるか?
幕張でビリーブを見た時に思ったのですが、彼の感情に触れて、こちらの感情も触発されるという。
このことについては、以前ヤグディンとプルシェンコにもからめて書いたことがあるのですが。
もしかして、内側に凝縮することから、全方位に向かっている、地場が広い。。。ということになるのかな。
エネルギーが内側に凝縮していることで外に大きなエネルギーを放射している、スピカのような恒星が思い浮かぶのですが。
○KNOCKIN’ ON YOUR DOOR

それができれば、試合でも地場が広い演技ができるという試みなのかな。

いろいろ考えてしまいますた。

それと、来シーズンも、ぜひぜひ、振り付け師さんの元の振り付けを参考にしながら、演技をしていただきたいです!

羽生結弦
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コメント

  1. すばる より:

    神戸も金沢も行って無いので、ここまで書き起こしてくださって感謝感謝です。大変だったでしょう。ほんとにありがとうございます!

  2. ちいこ より:

    >すばるさん
    ありがとうございます!うれしいです~。いや~あんまり需要ないんですかね、こういう役づくりとか表現のお話とか。。。汗。

  3. すばる より:

    >ちいこさん
    はい!需要あります!あるよぉ。

  4. ちいこ より:

    >すばるさん
    良かったわあ~。ありがとうございます!

  5. あいあい より:

    ちいこさん、書き起こし本当にお疲れ様でした。お忙しいのに大変な作業だったんじゃないですか?
    脱帽です。ありがとうございます。
    神戸のレクイエムの演技を、合間合間に観ています。それで思ったのは…
    ゆづの演技は相変わらず青臭いなっw
    ということです。
    ゆづは20歳の年齢で五輪王者の称号を持っていますし、輝かしいキャリアの持ち主ですが、演技はいつまでたっても青臭いんですよね。これがまたwww
    感情を出せるプログラム。と言っていますが、彼は、0か100しかない様な演技をするんだよなー。とレクイエムを観て改めて思いました。「観ている人その1」はこんな風に感じましたよw
    たぶん、ゆづファンじゃない人は、こういう彼の青臭い演技が苦手な人もいると思いますが…私は、あーあ、と思いながら見入ってしまう。だって、ゆづファンなんだもんっ!(←ツンデレ風)
    >僕は周りに与えるのではなく、自分を表現することの方が得意
    確かに神戸のレクイエムはそういう作品だと思いました。
    …でも、進化させてほしいですね。このレクイエムを観た人がどう受け取るのか。というのを、彼にもっと感じてほしいし、もっと観ている人に届くように演技してほしいです。
    自己完結で終わらせるのではなくて。

  6. ちいこ より:

    >あいあいさん
     あいあいさんいらっしゃいましたね~ww
     ゆづの演技は青臭い。。またまた言いにくいことをw
     しかし、うん、わかります。
     この曲の背景が3.11レクイエムの曲だったから、事前にわかっていてフィルターをかけて見て、ついポエムなことを言いたくなってしまうのですが。。
    今回、神戸の楽で新エキシを見て思い出したのが、2013全日本の花になれや2013スケカナのEX悲愴でしたわ。あれを見たときに、こんなにてらいもなく演技できちゃうんだ!とこちらが気恥ずかしくなるくらい青くて瑞々しくて泥臭くて綺麗でした。
    洗練を求めるタイプの人は評価は保留とおもわれるのかもしれないですな。
    レクイエムのコンセプトは、彼なりの葛藤なのかなと思いました。東日本大震災被災からカナダへ、バッシング、金メダル、困難なシーズンなどなどの葛藤と苦悩。今後、表現面でどのように進化していけば良いか、という。
    右往左往することもあるかもしれないけど、いろんな表現方法を試してみてほしいです。
    ちなみにわたしはビリーブの方がすきなんだな。。。
    GPSでもこのエキシなのかな~。NHK杯はそうだろうと思いますが~汗。 

  7. ちいこさん、
    大変だったと思います。。
    まさか全文読めるとは思わなかったので、
    本当に感謝です。ありがとうございます。
    バレエは、どの程度されているのでしょうね。
    ああ、でも、本当に、つい数年前を想うと素晴らしい成長ぶりなので、
    今後が楽しみで仕方がありません。。

  8. ちいこ より:

    >Megumi (野谷恵)さん
     ありがとうございます~頑張りました汗。
     バレエはぜひクラスをとっていてほしいところなのですが、インタビュー記事だけでは詳しいことまではわかりにくいようです汗。
    でも、発言の一つ一つが、ちゃんと自分を分析して長所と短所がわかっていて、どのような表現をしたいのかということがわかって、同じく安心しました。
    本当に今後が楽しみです(^O^)

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